エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
「俺と麻宮さんは特別に親しいわけじゃない。仕事だけの付き合いだ。そんな俺たちに千菜が嫉妬したと言うなら、元彼とのキスを目の前で見せつけられた俺の方が何十倍も嫉妬している」
「えっ……」
貴利くんは嫉妬をしていたの? だからあんなにこわい顔でかけるを睨んでいたの?
「あいつはまだ千菜のことが好きなのか?」
「ううん、違うと思う。さっきのキスはただの気まぐれだよ。付き合っていたときもそんなに私のこと好きじゃなかったみたいだし……」
やばい。言いながら涙が出そうになってくる。
あんなやつのためにもう泣きたくなくてグッと堪えた。
「千菜はどうなんだ? あいつがまだ好きか?」
貴利くんの言葉に頭を大きく横に振った。
好きじゃない。かけるのことなんてもう好きじゃない。
「そうか」
貴利くんが低い声で頷いた。
「千菜はもう俺のものだ。簡単に他の男にキスなんてされるなよ。俺も気分が悪い」
わかったなと再び凄みのある顔で睨まれた私は、反射的に背筋がピンと伸びた。
「は、はいっ!」