エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
「どうしたその顔。すっげーこえーんだけど」
「もともとこういう顔だ。気にするな」
「いや、うん。確かに郡司はもともと強面だけど、いつにも増してこわいよ。なんかあった?」
言いながら三雲は、おそらく自分が飲むために買ってきた缶コーヒーを俺に手渡した。どうやら貰っていいらしいので遠慮なくいただく。
缶の蓋を開けるとさっそく一口飲んだ。それからゆっくりと口を開く。
「彼女が元彼とキスをしている場面に遭遇した」
「ああ……それは辛いな。浮気されちゃったのか」
かわいそうにと同情するように三雲の手が俺の肩に乗っかる。
「でも、あの千菜ちゃんが? 浮気をするような子には見えなかったけど、何かの間違いじゃないのか」
「正確に言うと、彼女は元彼とたまたま会って、それで強引にキスをされたらしい……というか、三雲。千菜を知っているのか?」
三雲が“千菜ちゃん”と呼んだことで違和感を覚えた。
結婚すると話をしたとき、相手の名前だけ教えてとしつこく言われたので名前だけは教えた。顔は知らないはずだ。
でも、さっき三雲は千菜が浮気をするような子には見えなかったと言った。三雲は千菜に会ったことがないはずなのに、どうしてそう言い切れるのか。