エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 なんだかいろいろと大袈裟に脚色されているけど、そもそも私はかけるに振られたからといって男性不信になんかなっていない。それに、結婚を諦めたわけでもない。
 
 けれど、その話を聞いた史貴さんが、それならうちの息子の貴利も仕事ばかりで浮いた話をひとつも聞かない。このままでは婚期を逃しそうだとぼやいたそうだ。

 そこでふたりはひらめいた。

“そうだ! お互いの娘と息子を結婚させよう”

 父親同士が大親友なので、その子供である私と貴利くんも幼い頃から面識がある。きっと良きパートナーになるであろう。そう思った玉蔵と史貴さんにより私と貴利くんの結婚は勝手に決められてしまった。


『ふざけないでよ。私は絶対に貴利くんと結婚なんてしないからね』

『パパはふざけてなんかないぞ。千菜のことを思って……』

『でもさっきママのために私の結婚相手を選んだって言った』

『それは、ほら……あれだ、えっと……』


 玉蔵はもごもごと言葉を濁すが、適当な返しが見つからなかったらしい。とにかく、と声を張り上げる。


『千菜は貴利くんと結婚しなさい。もう史貴と約束しちゃったから、千菜が断るとパパが嘘つきになっちゃうんだ。それでもいいのか』

『いいよ』

 玉蔵が嘘つきになろうが泥棒になろうが私には関係ない。

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