エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~

 *


 午前の外来での診察を終えると、ナースステーションに立ち寄った。そこに麻宮さんの姿を見つけて声を掛ける。


「麻宮さん。頼みたいことがあるんだが今大丈夫だろうか」


 振り向いた彼女がにこりと頬笑む。


「はい、大丈夫ですよ。なんでしょう?」

「中澤さんの術後の経過についてと退院日のことでご家族と面談がしたいんだが、連絡を取って予定を調整してもらえないか。できれば二十六日の十五時か、二十八日の十三時以降でお願いしたい」

「わかりました。中澤さんのご家族にお伝えしますね」

「よろしく頼む」


 麻宮さんに用件を伝え終えた俺は足早にナースステーションを出た。すると、少し進んだところで背後から足音が近づいてくる気配がした。


「郡司先生」


 立ち止まって振り返ると麻宮さんが追いかけて来て、俺の目の前で止まった。


「今、少しだけお話しても大丈夫ですか」

「ああ、構わない。どうした」


 さきほどの中澤さんの件だろうか。そう思いながら麻宮さんの言葉を待っていると、彼女が声を潜めて尋ねてくる。


「昨日は先に帰られてしまった彼女さんに追いつけましたか?」


 どうやら聞きたいのは昨日のことのようだ。

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