エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 実際には先に帰ったわけではなかったが、その辺のことを説明するのは面倒なので適当に答える。


「ああ。あのあと会えた」

「そうですか。良かったです。気になっていたので」

「麻宮さんこそ約束に遅れていた友人とは会えたのか」

「はい」


 昨日はつい麻宮さんと仕事の話に夢中になってしまい、千菜からのメールに気がつくのが遅くなってしまった。

 お手洗いに行ったとばかり思っていたが、まさか店の外に出ているとは思わなかった。それから麻宮さんとの話を途中で切って、慌てて千菜を追いかけた。

 けれど、先に帰るというのは千菜の嘘だった。カフェを出た本当の理由は、俺と麻宮さんがふたりで話しているのを見て疎外感を抱いたようだ。

 そういえば、嫉妬したとも言っていたな。

 それは、俺が千菜と元彼のキスを見て嫉妬をしたのと同じ意味だと受け取ってもいいのだろうか……。

 もしもそうだとしたら、俺は千菜に嫌われていると思っていたが、彼女も少しは俺に好意を寄せてくれているのか?

 今になってその可能性に気付いたとき、大きく胸が高鳴った。

< 122 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop