エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~

「彼女さん……千菜さんでしたっけ。すごく大切にされているようで羨ましいです。私も、もっと早く郡司先生に自分の気持ちを伝えていればよかったと今すごく後悔しています。でも、もう見込みがなさそうなので先生のことは諦めますね」

「諦める?」


 麻宮さんの言葉の意味がすぐには理解できなかった。

 どういう意味だ。

 じっくり考えてひとつの答えに辿り着いた俺は、もしかしたらただの勘違いかもしれないが、麻宮さんに尋ねてみる。


「間違っていたらすまない。麻宮さんは俺が好きだったのか?」

「好きだったじゃなくて、今もまだ好きですけどね」


 麻宮さんの瞳がじっと俺を見つめている。

 こういう場合はどう言葉を返せばいいのかわからずに固まっていると、再び麻宮さんが口を開いた。


「でも諦めます。郡司先生は千菜さんと幸せになってください」


 麻宮さんは静かに頭を下げると俺に背中を向け、そのままナースステーションへと戻ってしまった。

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