エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 その日も学校から帰ると部屋に直行して、制服のままベッドにうつぶせに倒れ込んだ。

 どのくらいそうしていただろう。泣きながらいつの間にか眠ってしまったようで、玄関の扉が開く音とともに母と男の人の話し声が二階にある私の部屋までぼんやりとだけど届いてきた。

 挨拶程度の会話が終わると、足音がふたつリビングへと向かう。たぶん誰かが祖母にお線香をあげに来たのかもしれない。最近はそういう来客が多かったからそうだと思った。

 しばらくすると階段を上ってくる足音が聞こえて、私の部屋の前でぴたりと止まった。それと同時に扉が少し乱暴に開かれた。


『千菜』


 そこにいたのは貴利くんだった。

 当時の貴利くんは二十五歳。最難関とも呼ばれるT大の医学部を卒業した後、そのまま東京の病院で研修医として勤務していた。

 忙しいらしく祖母の葬式に参列できなかったので、この日は仕事の合間を縫って線香をあげにきたらしい。

 相変わらず無神経な貴利くんは、私の部屋にずかずかと踏み込んでくるとベッドの上に腰を下ろした。

 長身で体格のいい彼が座ったせいか、私のベッドがギシッと悲鳴を上げる。

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