エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
「貴利くん!」
気が付くと私は彼に駆け寄り、その背中に思いきり飛び付いていた。後ろから腕を回してぎゅっと強く抱き締める。
「千菜?」
そんな私の突然の行動に驚いたのか、貴利くんが顔を少し後ろに向けた。
立ち去っていく背中が寂しそうで、駆け寄って抱きついてしまったものの、次の自分の行動がわからない。貴利くんに抱きついてどうしたかったのだろう。
ただ、思い切り抱き締めたくなってしまった。
「あっ、えっと……ごめん」
そっと腕を離すと、貴利くんが身体ごと私に振り返った。お互いに向き合う形になると、大きな腕が今度は私に向かって伸ばされる。それが背中に回り、ぐいっと引き寄せられると、私の身体は貴利くんの腕の中にすっぽりとおさまった。
「千菜」
私を抱き締める腕に力を込めると、貴利くんは私の肩に顔を埋める。
「好きだ」
ストレートに告げられた言葉に、私の心臓がトクンと跳ねる。
「千菜が好きだ……好きだ」