エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 玄関を開けて少し進むと八畳ほどのダイニングルームがある。そのすぐ隣にも部屋があり、扉が開けっ放しになっていた。

 ダイニングルームよりも少し狭いこの部屋は寝室として使っているのだろう。カーテンが閉められたままの薄暗い部屋の中央にはセミダブルサイズほどのベッドが置かれている。

 それを見た瞬間、妙な緊張感が身体を駆け抜けていき、胸がどきどきと激しく打ち始めた。

 特に意識することなくここまで来たけれど、よくよく考えたら恋人同士の男女が同じ部屋で過ごすとなると、おのずとそういう雰囲気に流れていくのではないだろうか。

 つまり今日、もしかしたらあのベッドで貴利くんと……。


「千菜」

「は、はいっ」


 一人で恥ずかしい妄想を繰り広げて勝手に動揺していると、キッチンに立っている貴利くんに声を掛けられた。


「何か飲むか。と言っても、麦茶かコーヒーしか出せないけど」

「じゃあコーヒーで」

「ホットでいいか」

「うん。あっ、手伝うよ」


 慌てて妄想を吹き飛ばしてキッチンに駆け寄ろうとすると、「一人で大丈夫だ」と貴利くんに言われてしまった。

 私は、大人しくダイニングルームのソファに腰を下ろす。

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