エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 貴利くんは、そういうことに関してあまり興味なさそうな人だから。恋人である私とふたりきりで同じ部屋で過ごしていてもそういう甘い雰囲気にはならないのではないか。

 今だってすました顔してコーヒー飲んでるし……。

 ちらりと隣の貴利くんを見ると、私の視線に気が付いた彼がマグカップから口を離す。


「そんなにわかりやすく意識するな。まだ何もしないし、突然押し倒したりもしないから安心しろ」


 そう呟いて、再びコーヒーを飲み始める貴利くん。

 どうやら私が何に緊張しているのか気付いたらしい。なんだか恥ずかしくなってしまう。

 他人の感情を読み取るのが下手なくせにどうしてこういうときだけ察するのが早いんだ。

 それよりも、“まだ何もしない”ということは、いずれは私に手を出す気ではいるらしい。あまりそういうことに興味がなさそうだと思っていたけど、どうやら人並みにはあるようだ。

 貴利くんがそのつもりでいるなら私も心の準備をしておこう。

 でも、とりあえず今はまだ何もしないらしいから落ち着いて……。

 緊張を沈めていると、貴利くんがマグカップをローテーブルへ置いた。

 すると、手首を掴まれ、グイっと強く引き寄せられる。その勢いで私の身体は自然と貴利くんの方へと倒れてしまった。

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