エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
「心配するな俺は医者だ。千菜が倒れても何とかしてやるから安心しろ」
……たぶん、これと同じセリフをまったく別のシーンで言われたら、キュンとしちゃうほどかっこいいんだと思う。
でも、ここはベッドの上で、私は半ば無理やり貴利くんに襲われかけている。こんな状況なのに、真面目な表情で『俺は医者だ』とか言われても、とんちんかんな言葉にしか聞こえない。
「ちょ、ちょっと! どこ触ってんの」
いつの間にか私に覆い被さっている貴利くんの手が私の胸をわさわさと触り出している。
すると、さっきの行為の余韻がまだ身体に残っているのか、私の身体は敏感に反応してしまった。
「……ん」と思わず声が漏れてしまうと、それに気を良くしたのか貴利くんがさらに私に触れてくる。
ああ、もうだめだ。
このままもう一度始まってしまうのかと思いきや、貴利くんの方から突然ぐ~っとお腹の鳴る音が聞こえた。
私の胸を触っていた手の動きがぴたりと止まる。
「……腹減ったな」
雨の音は聞こえない。もう止んだのかもしれない。