エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 まだ確認はしていないけど、忙しい貴利くんのことだから普通に仕事をしていると思う。だからこそ恋人そっちのけで小谷さんとチキンパーティーの予定を入れたのだけれど。

 そもそも貴利くんはクリスマスを意識しているのだろうか。彼の性格を考えると、そういった世間一般の人が浮かれて騒ぐようなイベントにはまったく興味がないような気がする。


「そうだよね。お医者さんだから忙しいよね」


 どうやら小谷さんは貴利くんをチキンパーティーに呼ぶのを諦めてくれたらしい。

 そもそも彼女は貴利くんのどこがそんなに気に入ったのだろう。接点といえば、図書館で春子さんが倒れてしまった日に少し話をしたくらいなのに。

 不思議に思って尋ねると、小谷さんはにやにやと笑いながら教えてくれた。


「だってあの人、私が今読んでいる時代小説の主人公と雰囲気が似ているんだよね。何事にも動じなさそうな、冷静沈着なところとかそっくり」


 ああ……、なるほど。

 そういう理由だったのかと思わず納得してしまう。愛読書が時代小説の歴史ヲタクの小谷さんらしい。

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