エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
「勘違いしないでね。別に付き合いたいとかそういう感情はないからね。かっこいいなぁって勝手に思っているだけだから気にしないで。さてと、仕事に戻ろっと」
さっぱりとそう言って、小谷さんは書棚へと戻って行った。
そういえば以前、現実の男性はどうしても恋愛対象に見られないと言っていた小谷さんの言葉を思い出した。彼女は小説に出てくる武将にかなり惚れ込んでいるようで、現実の男性との恋愛は考えられないのだという。
そんな小谷さんにもいつか素敵な男性との良い出会いがありますようにと祈りながら、私は閉館時間までのカウンター業務をこなした。
*
「ここにいたんだ」
午後八時を過ぎて仕事を終えた私が職員入口から外に出ると、図書館の出入り口付近で貴利くんが私を待っていてくれた。
寒いのか、紺色のダウンジャケットのファスナーを首元まで閉めて、両手をポケットに入れている。
私たちが顔を会わせるのは二週間振りで、今日はこのまま貴利くんのマンションへお泊まりの予定だ。