エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 こんな時間にのんびりと我が家でチーズケーキを食べているということは、仕事は休みなのだろう。

 玉蔵の話によると貴利くんは現在、勤務先である港町総合病院の近くにあるマンションで一人暮らしをしているらしい。我が家からだと三十分ぐらいの距離だ。


「将来の夫に対して千菜はずいぶんと冷たいんだな。もう少し歓迎してくれてもいいんじゃないか」

「私たちが結婚するなんてまだ決まってないから」


 歓迎どころか早く帰ってほしい。今日の私は、子供の頃から読み続けているシリーズ作品の最新刊を読むと決めているんだから。

 早く帰れ早く帰れとキッチンから無言で訴えていると、貴利くんがため息をついた。


「いい加減に受け入れろ。千菜は俺と結婚するんだ。そのことで今日は千菜に見せたいものがあって来た」


 見せたいもの?

 貴利くんとの結婚を受け入れる気は一ミリもないけど、いったい彼が何を持ってきたのかは気になる。

 温め終えた朝食をトレイに乗せてダイニングテーブルへ運んでいると、貴利くんはイスの下から紙袋を取り出した。

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