エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
「じゃあな、三雲。こんなところで俺と話していると彼女とのデートに遅れるぞ」
早く帰りたくて話を切り上げると、俺は自転車にまたがった。そのままペダルに足をかけて漕ぎ出そうとすると、「待った」と三雲に呼び止められる。
今度はいったいなんの話だ。俺は帰りたいんだ。そううんざりしていると、三雲が静かに口を開く。
「千菜ちゃんにはあのこと言えたのか」
突然、クリスマスから話題を変えた三雲は、先ほどまでの会話とは違い少し声のトーンを落とし、その表情も珍しく真面目だ。その様子に本気で俺を心配してくれているのだと伝わってくる。
俺は、静かに首を横に振った。
「いや、言えていない。なかなか言い出しづらくてな」
「そうだろうと思った。郡司のことだから、千菜ちゃんの反応が気になって言えてないんじゃないかって」
三雲が重たいため息をこぼす。
「結婚して俺に付いてきてほしいって言えばいいだけだろ」
「それが、そう簡単にはいかない」
「なんでだよ。俺の彼女は俺とならどこへでも一緒に行くって言ってくれているぞ。きっと千菜ちゃんも付いてきてくれるはずだ」