エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 三雲の言葉に俺はどう言葉を返したらいいのか迷ってしまう。そんな俺に軽くため息をつきながら三雲が再び口を開いた。


「千菜ちゃんと結婚するんだろ。それならいつかは言わないといけないんだ。郡司のアメリカ行きはもう決定なんだから」

「千菜にはそのうち言うよ」


 来年の四月から日本を離れて、アメリカへ臨床留学に行くことが少し前に正式に決まった。

 ずっと前から希望していて準備を進めていたし打診もされていたが、まさかこんなにも早く正式に声が掛かり決定になるとは思わなかった。

 そして、そのことを千菜にも話すつもりでいたが言い出せなかった。あの日、仕事を早く終えて千菜の職場まで迎えに行った日に本当は打ち明けるつもりだったのに……。

 図書館内のソファに座って雑誌を読みながら、カウンターで楽しそうに仕事をしている千菜の姿を見ていたら心が迷い始めた。

 結婚したら仕事を辞めて俺と一緒にアメリカに行ってほしい。それは俺のわがままで、千菜は大好きな仕事を手放さなくてはならなくなる。本当にそれでいいのだろうか。

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