エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望～独占欲全開で娶られました～

　父親から千菜との結婚の話題が出たときはあまり深く考えてはいなかった。ただ千菜が好きだから結婚して一緒になりたいと思った。

　でも、今は違う。俺と結婚したら千菜の人生を振り回してしまうかもしれない。

　そう思い始めたら、結婚に対しても迷いが出てきた。

　俺は、千菜と結婚してもいいのだろうか。

　それで千菜は幸せになれるのだろうか。


　三雲と別れたあともそんなことを考えながら自転車を漕いでマンションへと到着した。

　駐輪場に自転車を停めてから何気なく三階にある自宅の方へ視線を向けると、部屋の灯りがついている。消し忘れたのかと思ったが、次の瞬間、気が付いた。

　俺は慌てて部屋へと向かう。辿り着いた部屋の扉を開けてリビングへ駆け込むと、そこにはやっぱり千菜の姿があった。


「あっ、帰ってきた。おかえり～」


　エプロン姿の彼女が俺を見て優しく微笑む。


「この前、合鍵貰ったから来ちゃった」


　そう言って、エプロンのポケットから鍵を取り出すと、それを振って俺に見せた。

　千菜も今日は仕事だったはずだ。そのあとに俺のマンションに来たのだろう。