エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
「それ何?」
ダイニングテーブルへ朝食を並べてからイスに腰を下ろすと、対面に座っている貴利くんが紙袋から何かの雑誌を取り出す。それが目に入った瞬間、食べていた卵焼きを思わず口から吹き出しそうになった。
「えっ、ちょっと何これ。なんでこんなもん持ってるの」
ピンクの可愛らしいブーケを持ったウエディングドレス姿の女性が表紙のその雑誌には、【この一冊で完璧! これを読めば、式準備・入籍・新生活がよくわかる!】の文字が……。
いわゆる、結婚情報雑誌というものだ。
貴利くんの大きな手が雑誌をぺらぺらとめくっていく。
「付録がついているな。なんだこれは。何に使うんだ。よく分からないから千菜にあげよう」
いりませんと心の中で呟きながら、ウインナーを箸でつまむ。
貴利くんが私にこの雑誌を見せに来たということは、やはり彼の中では私との結婚の意思がすでに固まっているのだろう。
父親たちが勝手に決めたことなのにどうしてこうすんなりと受け入れられるのか。貴利くんの気持ちが理解できない。