エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
「千菜ちゃん。それ本気で言ってる?」
すると、三雲先生の鋭い声が私に向けられた。
「千菜ちゃんは群司に捨てられたと思ってるんだ」
「はい……」
小さく頷くと、三雲先生が重たいため息を吐いた。
「群司は言葉が足りないんだよなぁ。大好きなはずの千菜ちゃんを自分で傷付けてどうするんだよあのアホ」
何だか怒ったような口調でそう言うと、三雲先生は顔をずいと私に近付ける。
「いいかい千菜ちゃん。今から俺の話すことが真実だからよく聞いてね」
「は、はい」
真剣な表情で見つめられて、私はこくんと頷いた。
「群司は、本当は千菜ちゃんにアメリカへ一緒に来てほしかったんだ。でも、そう言えないから千菜ちゃんとの結婚を諦めるしかなかった」
「諦めた?」
「千菜ちゃんが群司と結婚して一緒にアメリカへ行けば、今の仕事を辞めないといけないよね」
「はい……」
三雲先生の言葉に私はまた思い出す。
『もしも俺が、仕事を辞めてくれと言ったら千菜はどうする』
『いや、深い意味はない。ただ、なんとなく聞いただけだ』
本当はあの日、貴利くんは私にアメリカ留学のことを話して、一緒に来て欲しいと言いたかったのかもしれない。
でも、私は……。