エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
「そうなんですか……?」
それが、貴利くんが私との結婚をやめた本当の理由。貴利くんは私のためを思って別れを切り出したの?
「群司が言ってた。今回のアメリカ留学のことだけじゃなくて、そのあとで日本に戻ったあともたぶんしばらくはいろんな病院を異動するだろうから、きっと千菜ちゃんが自分と結婚したら千菜ちゃんの人生を振り回してしまう。それはしたくないんだとさ」
その話を聞いて、私は黙り込んでしまった。
私の人生を振り回したくない――。
貴利くんが私との結婚をやめた本当の理由を知って戸惑っている。
邪魔だから捨てられたと思っていた。でもそうじゃなくて、貴利くんは私のためを思うからこそ、結婚をやめたんだ。それを知った私はどうしたらいいのだろう……。
すると、三雲先生がテーブルの隅に置かれたメニュー表へと手を伸ばし、笑顔で私に声を掛けてくる。
「せっかくだから何か食べようか。お茶でも飲みながら少しだけ話をしようと思っていたんだけどお腹空いてきちゃって。千菜ちゃんの分も奢るよ」
「いえ、奢っていただくのは悪いので自分で払います」
「それじゃあ、お互い何か頼んで食べよう」