エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~

「どうするのかは千菜ちゃんが決めることだけど、俺に言えることがあるなら。群司はむかしから千菜ちゃんのことばかり考えているってことかな」

「むかしから?」

「群司がどうして脳神経外科を専門にしたのか知ってる? ほら、あいつの祖父も父親も専門は心臓でしょ。郡司は実家の総合病院の跡取りだからけっこう揉めたらしいよ」

「そうなんですか?」


 それについては私も気になったことがあった。争い事をあまり好まないような貴利くんがお父さんと揉めてまでどうして脳神経外科医を目指したのだろう。


「千菜ちゃんのためだよ」

「私の?」


 三雲先生の言葉に、私は首を傾げる。


「俺、群司とは医学部からの仲で初期研修の病院も一緒だったんだよね。研修医の頃っていくつかの科を順番に回って経験していくんだけど、二年目も終わりに近づくとこれから自分の専門にする診療科をそろそろ決めないといけないんだ。俺はてっきり群司は心臓血管外科に行くもんだと思っていたから、あいつが脳神経外科を専門にするって聞いたときは驚いた。で、その理由を聞いてみたらさ、こいつ優秀なわりに意外と単純な考え方もするんだなと思ってめちゃくちゃ笑えた」

「笑えた?」

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