エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
それから三雲先生と別れて自宅に戻ると、私はリビングのソファに仰向けに寝転がった。
母は地方への講演会のため泊まりで出掛けているから不在。私は、明かりのついていない薄暗いリビングの天井をじっと見つめる。
『私は、あなたが好きじゃない。これからもずっとそれは変わらないから』
思い出すのは貴利くんと再会したときの私の第一声。今思えば本当にひどいことを言ってしまった。
『そんなに俺が嫌いか』
『千菜。頼むから、あの頃みたいに俺に笑顔を向けてくれ』
貴利くんはずっと私のことを想ってくれていたのに。私は冷たい態度ばかりを取ってしまった。
『千菜。俺とデートしよう。話したいこともあるし、渡したいものがある』
そういえば、渡したいものって何だったのだろう。まだ貰えていない気がする。でも、それを貰うことももうなくなってしまったんだ。
そう思ったら、ようやく止まった涙が再び溢れそうになる。それを堪えながら、気がつくと私はそのまま眠りに落ちていた――。