エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
私の幸せ勝手に決めるな
*
「千菜ちゃーん」
翌朝、パッと目を開けると玉蔵の顔が目の前にあった。
「うわっ。びっくりした」
驚いた私はソファから転げ落ちてしまう。そのせいでフローリングの床に頭をゴチンとぶつけた。
「いった~」
思わず涙目になって、打った頭をさする。大丈夫。たんこぶはできてなさそう。そう確認してから玉蔵を睨みつけた。
「驚かさないでよ」
「ごめんよ千菜ちゃん。パパにはそんなつもりなかったんだけど、千菜ちゃんがこんなところで寝ているから風邪引いちゃうと思って心配で」
そんな心配をしていただかなくても結構です。ソファに座り直した私は軽くため息をこぼす。
「それで、何しに来たの」
普段からほとんど家に戻ってこない玉蔵が帰ってきているとどうも嫌な予感がしてしまう。今日はいったいどんな用事で来たのだろう。
「いや、大したことはないんだ。ママから今日は千菜ちゃんの仕事が休みだって聞いたから……」
玉蔵にしては珍しく、言葉を選ぶように慎重に話している。
「ほら、貴利くんとのこともあったし、千菜ちゃんがどうしているのか心配で」
「別にどうもしてないけど」
冷たくそう答えながら、私はキッチンへと移動する。冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すとグラスに注いで一気に飲み干した。