エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~

『千菜ちゃんは群司にたっぷりと愛されているよ』


 私のために結婚をやめようと決断した貴利くんのためにも、私たちはこのまま離れた方がいい。

 貴利くんはアメリカで医者としての腕を磨いて、私は日本で子供の頃からの夢だった仕事をこれからも続けていく。きっと私たちにはそれがいいんだ――。

 そんな悶々とした気持ちを抱えたままチャーハンを食べ終わり、キッチンでお皿を洗っていると、仕事があるからと玉蔵がいつものようにふらりと家を出て行こうとする。


「ねぇ、玉蔵。玉蔵はどうしてこの家じゃなくて別の家で暮らしているの?」


 リビングの扉を開けた背中に声を掛けると、玉蔵が振り返る。


「どうしたんだ突然?」


 大学教授の玉蔵は研究に集中したくて、都内にある勤務先の大学のすぐ近くのマンションを借りて独り暮らしをしている。

 それは私が幼い頃からのことで我が家ではもう当たり前になっているから、どうして今さら私がそんな質問をしてきたのか玉蔵は不思議なのだろう。

 トアノブに手を掛けたままきょとんとした表情で私を見つめている玉蔵に、私は洗い物で濡れた手をタオルで拭きながら口を開く。

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