エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
「寂しくないのかなと思って」
家族と別居しているからといって、玉蔵は決して私や母をないがしろにしているわけじゃない。
たまに会いにくるときはお菓子などのお土産を大量に買って帰ってくるし、家にいるときは面倒くさいぐらい私に構ってくる。それに、母にベタベタとくっついているところもよく見る。
玉蔵とはたまにしか会えないけど、玉蔵からの愛情はちゃんと伝わっている。
「千菜はパパと一緒に暮らせなくて寂しかったのか?」
玉蔵にそう尋ねられて、私は首を横に振った。
「寂しくはなかったかな。たまにしか会えないけど玉蔵が私とママを大切にしてくれているのは子供ながらに感じていたし」
こんなセリフを面と向かって言うのが恥ずかしくてボソボソと小声で告げれば、玉蔵はケラケラと笑った。
「そうかそうか。パパも寂しくはない。いや、たまに寂しくもなるが……。でも、申し訳ないが研究に集中していると家族のことはいったん忘れてしまうんだ。そんな風にひとつのことにしか集中できない不器用な性格のパパだから、大学の近くのマンションで暮らすのを提案してくれたのはママなんだ」