エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~

「ママが?」

「その方がパパの研究が集中できるならそうした方がいいとママが背中を押してくれた。そのおかげで今は教授にまで出世できた。本当にママには感謝している」


 私はてっきり玉蔵が自ら選んで独り暮らしをしているのだと思っていたから驚いた。まさかママが言い出したことだったなんて。


「でも、さすがにおばあちゃんが亡くなったときは家に戻ろうと思ったな。千菜のことが心配で」

「ああ……」


 そういえば、あの頃の玉蔵は毎日のように家に帰ってきていたし、母も仕事をセーブして私に寄り添ってくれていた。普段は仕事ばかりのふたりだけど、私のこともちゃんと大切にしてくれているのだと知って、祖母を失った悲しみも両親に支えられて少しずつ癒えていった。

 すると玉蔵はまた独り暮らしのマンションに戻ったし、母も少しずつ仕事を増やしていき、相変わらず仕事の忙しい両親に戻った。私も大学受験があったから勉強漬けの毎日になり、祖母のいない新しい生活を少しずつ受け入れられた気がする。

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