エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望～独占欲全開で娶られました～

「結局、あのときは家に戻らなかったけど、そろそろこの家で暮らそうとも考えているんだ。老後はママと千菜ちゃんと一緒に暮らしたい。ああ、でも千菜ちゃんは貴利くんと結婚するからこの家を出ちゃうのかな」

「えっ」


　結婚って……。私と貴利くんの結婚はなくなってしまったのに。


「千菜ちゃんは貴利くんと結婚したいんだろ？」


　玉蔵のその言葉に私はハッと顔を上げる。


「ずっと浮かない表情でため息ばかりついて。未練たらたらだって顔に出ているぞ」

「玉蔵……」


　たまにしか会わないくせに私のことがわかり過ぎだ。


「それにママが心配していた。千菜ちゃんがさとしくんと別れたときよりも落ち込んでいるから、このままだと男性不信になって一生結婚できないかもしれないって。だからパパが今回も一肌脱いだぞ」

「え……」


　玉蔵がまた私の元彼の名前を間違えていることはもうどうでもいいとして。それよりも一肌脱いだって今度はいったい何をしたんだろう。

　もしかして、また別の結婚相手を探してきたのだろうか。