エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 付いてきてほしいとはやっぱり言ってくれそうにないし、私から言ってみたけどきっぱりと断られてしまった。

 そんな私たちはやっぱりもう別々の道を歩くべきなのかもしれない――


『千菜ちゃんは群司にたっぷりと愛されているよ』


 ――それは伝わってくる。

 三雲先生の話を聞いて、貴利くんがどれだけ私を大切に想ってくれているのかを知った。

 でも、それならどうして私を信じてくれないんだろう。


「待っていて。とは言ってくれないんだね」


 ぽつりとそうこぼして、私は貴利くんの腕を掴んでいる手をそっと離した。


「ずっとアメリカにいるわけじゃないんでしょ。また日本に戻ってくるなら私は待ってるよ。戻ってきたら結婚すればいいじゃん」


 貴利くんがそうしてほしいなら私は日本に残る。そして、自分の仕事を続けながら貴利くんが日本に戻ってくるのを待ってる。離れてもまた会えるって信じている。


「こんなに好きになっちゃったら、私はもう貴利くんがいないとだめだよ」


 泣いている顔を見られたくなくて、私は両手で自分の顔を覆った。

 私だって貴利くんのことが好きで、大切に思っている。

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