エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
離れていてもずっと
*
まだ冬の寒さが続く三月上旬。
みなとみらいにあるホテルのラウンジに約束の時間よりも十分ほど早く到着すると、そこにはすでに待ち合わせをしている人物の姿があった。
窓側の席に座り、ぼんやりと外の景色を眺めている彼に近付くとそっと声を掛ける。
「珍しいね。貴利くんが私よりも早く来ているなんて」
明日は雪でも降るんじゃないかな。そう言って笑うと、明日の天気は晴れだと真面目に返されてしまった。
相変わらず考え方が固くて冗談の通じない人だ。
でも、そんなところが今では可愛くさえ思うのだから、私の貴利くんへ向ける愛はどんどん大きくなっている気がする。
そんなことを思いながら、私は貴利くんの対面のソファに腰を下ろした。
「いつも遅れてばかりいるからな。最後くらいは千菜よりも早く着いて待っていたかった」
貴利くんはそう言うと、静かにコーヒーを飲んだ。
最後か……。
不意に告げられた言葉を今はなるべく考えないようにして、私はメニュー表に視線を落とす。
「何飲もうかな……あっ、そうだ。これも頼んでいい?」
飲み物を選んでいたはずが、ふと視界に入り込んだスイーツに目が留まった。