エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 三段のケーキスタンドに、季節のフルーツをふんだんに使ったプチケーキやスコーン、サンドイッチなどが上品に盛り付けられている。

 これと同じものを去年の九月に貴利くんをこの場所で待ち続けていたときに、近くのテーブルで談笑していたマダムたちが食べていたのを思い出した。あのときは値段の高さに驚いて諦めたけど今日は食べようかな。

 今の時刻は午後三時。ちょうどおやつの時間だ。


「千菜が食べたいなら頼めばいい。俺にも少し分けてくれ」

「もちろん。一緒に食べようよ」


 私は近くにいるスタッフに声を掛けるとさっそく注文をした。しばらくして運ばれてきたスイーツなどが乗った三段のケーキスタンドに思わず目が輝く。


「おいしそ~」

「あまり食べ過ぎるなよ。今夜の食事が食べられなくなる」


 どれから食べようか迷っていると貴利くんの鋭い言葉が向けられる。わかってるよと答えながら、私は目の前のスイーツを食べ始めた。

 今日はこのラウンジのあるホテルでお泊りデートの予定だ。

 そして、このデートを最後に私たちはしばらく会えなくなる。

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