エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 それじゃあ好きな人は? いや、貴利くんは恋愛事にあまり興味がなさそうだ。そういうことに一番興味のありそうな高校生の頃だって、学校終わりに図書館で毎日のように勉強をしているような人だったから。たぶん今も仕事一筋で恋愛なんてしていないと思う。

 そもそも結婚願望も薄そうだ。

 でも、実家の総合病院の跡取りでもあるし、もう三十代も半ばだし、世間的にもそろそろ結婚した方がいいはずだ――とか、たぶんそんなことを考えて、貴利くんは私との結婚を受け入れたのかもしれない。

 つまり、相手は私じゃなくても誰でもいい……。

 そうだとしたらなおさらこんな結婚お断りだ。私は、結婚するなら大好きな人としたい。貴利くんとは絶対にしたくないんだから!

 もぐもぐとお米を食べながらそんなことを考えていると、目の前の貴利くんが不意にズボンのポケットへと手を伸ばした。そこからスマートフォンを取り出すと、すぐに耳に当てる。


「はい。郡司です」


 どうやら電話が掛かってきたらしい。

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