エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
私はあなたが大好き



 *

 ――三年後

 白を基調とした、落ち着いた雰囲気のプライズルームには、眩しいくらいの太陽の光が差し込んでいる。その温かな光を横から受けながら、目の前にある大きなミラーをそっと見つめた。

 そこには、プリンセスラインと呼ばれるふんわりとしたドレスを身に着けた自分の姿が映し出されていて、思わず顔がにやけてしまう。何度も試着に訪れて決めたお気に入りの一着だ。

 ついに今日は結婚式。最高の一日の始まりだ。

 ようやくここまでくることができたのだとなんだかしんみりとした気持ちになっていると、ノックもなく扉が勢いよく開かれる。


「大変です。新郎が急に仕事が入ったと式場を抜け出してしまいました」


 慌てたように飛び込んできたのは式場の女性スタッフだ。彼女の報告を聞いた私はすぐにイスから立ち上がる。


「えっ。貴利くん病院に行っちゃったんですか⁉」

「はい。それが、お支度を終えて待たれている間に電話が掛かってきまして、すごい勢いで走り去っていかれました」

「そんな……」


 こんな大切な日にあの人は何を考えているんだ!

 結婚式よりも病院からの呼び出しを優先させるなんて信じられない。……でも、人の命がかかっているのだから仕方がないのかな。

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