エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
「――菜。おい、千菜、起きろ」
ぐらぐらと肩を揺すられて、パッと大きく目を開いた。
瞬間、太陽の光が眩しくて再び目を閉じる。
少ししてゆっくりと目を開けると目の前には貴利くんの顔があったので、思わず彼に飛びついてしまった。
「どうしているの⁉ 病院から戻ってきたの?」
そう問い詰めると、貴利くんは不思議そうに私を見つめる。
「大丈夫か、千菜。頭でも打ったか?」
「えっ」
貴利くんの手が私の髪をそっと撫でる。
「今日は朝からずっと俺は千菜と一緒にいる。病院には行っていないし、今日は行かない」
「でも……」
あれ?
改めて状況の確認をするとここは車の中。どこかの駐車場に停まっているようだ。運転席には貴利くんが座っていて、助手席には私が座っている。
あれれ?
さっきまでプライズルームにウエディングドレス姿で座っていたはずなのに。
「……もしかして、もう結婚式終わっちゃったの?」
そもそも中止になったのだから始まりも終わりもないけれど、この状況がよく理解できなくてそんなことを呟いてしまう。