エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望～独占欲全開で娶られました～
　貴利くんは東北方面にある病院への異動が決まっていて、結婚した私ももちろん一緒に付いていく。

　そのために私は今の職場である港町図書館を退職することになっている。今の職場が大好きだから辞めるのは正直に言って寂しかったけど、いつまでも落ち込んではいられないと貴利くんには内緒で行動に移したことがある。


「そのことなんだけどね。実は、新しい仕事先が決まりました」


　貴利くんの異動が決まってから、私はこっそりと就活をしていたのだ。


「貴利くんの新しい勤務先の病院と同じ市内にある図書館が職員を募集していたの。臨時採用みたいなかたちなんだけど、とりあえず受けてみたら受かった。だから貴利くんに付いていっても変わらずに司書の仕事ができるよ」


　友達と旅行に出かけると嘘をついて一人で東北まで面接を受けてきた。先日、採用通知が届いたばかりだ。


「本当か？」


　突然の報告に貴利くんが驚いたように目を丸くしている。本当だよと言って頷けば、貴利くんの大きな手が私の頭を優しく撫でてくれる。


「さすが千菜だ。お前は俺よりたくましいよ」

「そうかな？」


　褒められたようで思わず顔がにやけてしまう。

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