エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
それはもう恋
*
「あれ? 郡司じゃん。なんでいんの?」
外来も面会時間も終了して静かになった院内を足早に移動していると、同じ歳の同僚で呼吸器内科の医師である三雲翔太とすれ違った。俺の姿を見るなり駆け寄ってくる。
「なんでいるのかと聞かれても俺はこの病院の医師だ」
だからここにいて当たり前だろう。そう答えれば、三雲は苦笑いになる。
「いや、そういう意味で聞いたんじゃないよ。お前、今日は休みだっただろ。それなのにどうしてここにいんのって俺は聞いてんの」
「そういう意味か」
理解した俺は三雲に説明する。
「受け持ちの患者の容体が急変したと呼び出された。今は落ち着いているが、今日は念のためこのまま泊まり込んで様子を見ようと思っている」
「そっか。ご苦労さん。俺も今日は当直なんだけど、郡司は今暇?」
「暇ではないが、少しなら時間がある」
「それならちょっとそこでお茶しない?」
そう言って三雲が指さした先にあるのは自動販売機が並ぶちょっとした休憩スペース。
俺は頷くと、三雲のあとに続いて移動した。それぞれ飲み物を購入してから、誰もいないソファに少し距離を置いて腰を下ろす。