エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
前回会ったときに、結婚情報雑誌と記入済みの婚姻届を持参した貴利くんのことだ。また一人で結婚に向かって突っ走って、余計なものを私に渡そうとしていたりして……。
そう怯えていると、突然、救急車のサイレンが聞こえてきた。
「急患か」
貴利くんは呟くと、入口の方へ視線を向ける。
しばらくすると救急車のサイレンが消えて、ストレッチャーに乗せられた患者が運び込まれていく様子がここからでも確認できた。
その光景にふと、私の身体が固まる。
辛い記憶だからなるべく思い出さないようにしていたけれど、九年前に祖母が救急車で運び込まれたのもこの港町総合病院だった。
――あの日。母は仕事で出張に出掛けていて、自宅には私と祖母のふたりしかいなかった。
朝、祖母は頭が痛いと辛そうにしていたのに、私は気にかけてあげることができなくて、そのまま高校へと向かった。
その日はテスト期間だったので午前だけの登校で、お昼頃に自宅へ戻るとキッチンで倒れている祖母を見つけた。すぐに救急車を呼んで病院に到着すると、祖母は緊急手術を受けた。
その間、私は一人で待合室にいたけれど、しばらくして連絡を受けた両親が到着する頃には、祖母はもう息を引き取った後だった。
そう怯えていると、突然、救急車のサイレンが聞こえてきた。
「急患か」
貴利くんは呟くと、入口の方へ視線を向ける。
しばらくすると救急車のサイレンが消えて、ストレッチャーに乗せられた患者が運び込まれていく様子がここからでも確認できた。
その光景にふと、私の身体が固まる。
辛い記憶だからなるべく思い出さないようにしていたけれど、九年前に祖母が救急車で運び込まれたのもこの港町総合病院だった。
――あの日。母は仕事で出張に出掛けていて、自宅には私と祖母のふたりしかいなかった。
朝、祖母は頭が痛いと辛そうにしていたのに、私は気にかけてあげることができなくて、そのまま高校へと向かった。
その日はテスト期間だったので午前だけの登校で、お昼頃に自宅へ戻るとキッチンで倒れている祖母を見つけた。すぐに救急車を呼んで病院に到着すると、祖母は緊急手術を受けた。
その間、私は一人で待合室にいたけれど、しばらくして連絡を受けた両親が到着する頃には、祖母はもう息を引き取った後だった。