エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~

「日本十進分類法っていうのがあって、図書館の本はすべてそれに従った数字が付けられているの。例えばこの棚だと社会学系の本が並んでいるから、ラベルの上段に書かれている数字は三から始まっているでしょ。これが歴史の本だと数字が二から始まって、芸術だと七、文学だと九っていう風に大きく九つのグループに分かれているんだよ。そこからもっと細かく分けていくんだけど、例えば医学だと四の次に九の数字が――」

「わかった。もういい」


 千菜の説明が思ったよりも長くなりそうなのと、だいたいのことはわかったので話を途中で切った。すると、千菜が俺を鋭い視線で睨んでくる。


「自分だってこの前、病気の説明をひたすら続けたくせに。頭に穴を開けるとか言うから、鳥肌立ったんだけど」


 いつの話をしているのかと思えば、一週間前のときのことか。確かに千菜に、慢性硬膜化血腫の話をしたが簡潔に述べたつもりだ。


「というか、貴利くんがどうしてここにいるの」


 片手に抱えていた残りの本を棚に戻しながら、千菜が小声で俺に尋ねてくる。図書館で大声はいけない。そう思い、千菜に近付くと俺も小声で答えた。


「千菜が連絡をくれないからだろ」

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