エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 一週間以上振りの休日をようやく手に入れて千菜に会いにきたんだ。今日こそは何としてでもデートの約束を取り付ける。そうでないと次に会えるのがいつになってしまうかわからない。


「千菜の仕事はいつ終わる。それまで待っているから」

「待ってなくていいよ。休みの日を教えればいいんでしょ。メールするから」

「嘘だな。そう言って、また俺を無視する気でいるんだろ」


 そう返せば、千菜から「うっ……」という声が漏れる。どうやら図星をつかれて言葉に詰まったらしい。

 こうなったら、何としてでも千菜に休みの日を教えてもらわなければならない。

 俺としては早く千菜にプロポーズしたいんだ。親が決めたこの結婚に千菜も前向きになってほしい。どうか俺と結婚してほしい。

 でも、彼女の気持ちはなかなか俺に向いてくれない。

 俺は千菜が好きなのに……。


「――千菜は、そんなに俺が嫌いか?」


 前を歩く千菜の腕を掴んで引き止めた。彼女が驚いたように俺を振り返る。


「教えてくれ。どうして俺が嫌いなんだ。俺はできれば千菜に好かれたい。俺に不満があるなら直す。だから、冷たい態度を取るのはもうやめてくれ」

「ちょ、ちょっと貴利くん。みんな見てるよ」


 千菜が焦ったようにあたりをきょろきょろと見回している。

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