エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
「貴利くんとは、お互いの父親同士が友達なので知り合いというだけです」
「ふうん。あの人、貴利っていう名前なんだ。苗字は? 年齢は?」
「どうしてそんなに詳しく知りたいんですか」
不思議に思いつつも貴利くんの名字と年齢を教えると、小谷さんはうっとりしたように微笑んだ。
「郡司さんって言うんだ。年齢は三十四だと私より七つ年上になるのかな。また会いたいかも」
「……小谷さん?」
うっとりとしたその反応は、もしかして貴利くんのことを気に入ってしまったのだろうか。
「かっこよかったなぁ、郡司さん。中澤さんが倒れちゃったとき、私たちはみんなパニックになっていたけど、あの人だけ冷静に対応している姿が素敵だった」
「それは医者だから当たり前ですよ」
むしろあの場で貴利くんも私たちと一緒にパニックになっていたら医者失格だ。
昨日よりももっと過酷な場面はたくさんあるだろうし、悲惨な場面だって経験しているはず。命が助かるか助からないか。そういう緊張感の中に貴利くんは身を置いているんだ。
そう思ったら、あらためて貴利くんの医者という仕事の偉大さを感じた。