エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望～独占欲全開で娶られました～

　確かに手術で春子さんの脳の詰まりを取ったのは貴利くんの上司かもしれない。でも、そこに至るまで、春子さんが図書館で倒れたとき、すぐに脳の病気だと気がついてくれたのは貴利くんだ。

　貴利くんがいてくれなかったら、救急車を呼ぶのが遅くなって治療が遅れていたかもしれない。そうしたら最悪の場合は命を失っていたし、重い後遺症が残ってしまう可能性だってあったと思う。


「昨日は貴利くんがいてくれてよかった。私、春子さんのことを亡くなったおばあちゃんと重ねていて。雰囲気とかすごく似ているんだよ。だから、春子さんが無事ですごく安心した」


　貴利くんとしては自分の技術が及ばなくて春子さんの手術ができなかったのが悔しいのかもしれない。でも私は、貴利くんが春子さんを救ってくれたと思っている。


「ありがとう貴利くん」


　今は素直にお礼が言えた。

　彼が過去に私に言ったひどい言葉は今でもやっぱり忘れられない。

　でも、春子さんを助けてくれたときの貴利くんは医者としてとても頼もしかったし、彼がいてくれなかったら春子さんは助からなかったかもしれない。

　だから、心から貴利くんに感謝をしている。