エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
初デートは波乱の予感
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十月も半ばに入ると、朝晩は急に肌寒く感じるようになった。一方で日中は最高気温が二十五度を超える日もあり、一日の寒暖差がとても激しい。
今日の貴利くんとのデートの服装も迷ったけれど、七分袖のワンピースにカーディガンを羽織っていくことにした。
待ち合わせは午前十時。貴利くんが私の家に車で迎えに来てくれるそうだ。
その到着を玄関の外で待っているものの、約束の時間を過ぎても貴利くんは現れない。
五分、十分、十五分……。
「遅い」
三十分が経っても貴利くんは一向に現れる気配がなく、待ちくたびれた私はとうとう膝を抱えて座り込んでしまった。
すると、カバンの中でスマートフォンが着信を知らせる。振動の回数からしておそらくメールだ。
嫌な予感がしつつ確認すると、送り主は貴利くん。
【仕事で少し遅れる。必ず行くからま――】
メッセージは不自然に途中で切れていた。おそらく【待っていて】とでも打ちたかったのかもしれない。仕事の合間に慌てて送信をしたのだろうか……。
それにしても、少し遅れるとは具体的にどのくらい遅れるんだ。三十分? 一時間?
できればそこをはっきりと教えてほしかった。そうでないと、いったいどのくらい待てばいいのかわからない。