エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
とりあえず到着にはまだ時間がかかりそうなので、いったん家の中に戻ることにした。
リビングに入ると、キッチンで朝からお菓子作りに没頭している母が不思議そうに私を見る。
「あら、千菜ちゃん。 貴利くんとお出掛けするんじゃなかったの?」
「仕事で遅くなるって」
カバンを投げ捨てると、私はソファにごろんと仰向けに寝転がった。天井を見つめながら、自然とため息がこぼれてしまう。
「かけるは絶対に遅れたりしなかったのになぁ」
ふと元彼を思い出して、そんな呟きがこぼれてしまった。すると、母がすぐに言葉を返す。
「それは仕方ないわよ。貴利くんは人の命を預かるお医者さんなんだから。自分の予定よりも患者さんを優先させないといけないでしょ。千菜ちゃんも、そこをしっかりと理解しないと、貴利くんと結婚なんてできないわよ」
「私まだ貴利くんと結婚するって決めてないんだけど」
「あら、そうなの? でも、お父さんたちはあなたたちふたりを結婚させたがっているわよ」
「私たちは勝手に決められて迷惑しているの!」
いや、迷惑しているのは私だけだ。貴利くんはなぜかこの結婚に乗り気でいる。その理由はよく分からないけれど。
リビングに入ると、キッチンで朝からお菓子作りに没頭している母が不思議そうに私を見る。
「あら、千菜ちゃん。 貴利くんとお出掛けするんじゃなかったの?」
「仕事で遅くなるって」
カバンを投げ捨てると、私はソファにごろんと仰向けに寝転がった。天井を見つめながら、自然とため息がこぼれてしまう。
「かけるは絶対に遅れたりしなかったのになぁ」
ふと元彼を思い出して、そんな呟きがこぼれてしまった。すると、母がすぐに言葉を返す。
「それは仕方ないわよ。貴利くんは人の命を預かるお医者さんなんだから。自分の予定よりも患者さんを優先させないといけないでしょ。千菜ちゃんも、そこをしっかりと理解しないと、貴利くんと結婚なんてできないわよ」
「私まだ貴利くんと結婚するって決めてないんだけど」
「あら、そうなの? でも、お父さんたちはあなたたちふたりを結婚させたがっているわよ」
「私たちは勝手に決められて迷惑しているの!」
いや、迷惑しているのは私だけだ。貴利くんはなぜかこの結婚に乗り気でいる。その理由はよく分からないけれど。