エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
「千菜ちゃんが貴利くんとデートするって言うから、ママはてっきりふたりはもうそういう関係だって思っていたのよ」
「そういう関係って?」
ソファから起き上がると、キッチンにいる母に視線を向ける。すると、うふふと笑い声が返ってきた。
「千菜ちゃん。今日は貴利くんのおうちに泊まってきてもいいのよ。朝までふたりでゆっくりと過ごしてきなさい」
ニヤニヤしながら私を見てくる母。その言葉に含まれた意味をなんとなく理解した私はじっと母を睨み返す。
「泊まってこないから。ちゃんと家に帰って、自分のベッドで寝るから」
そうはっきり告げると、私は再びソファに寝転がった。
ちらりと時計を見ると時刻はもうすぐ十一時になろうとしている。貴利くんは本当に来るのだろうか。
何だかもう今日のデートはこのままなくなってしまうような気がしてくる。この日のためにせっかく新しいワンピースを買ったのにと気持ちが沈む。
落ち着いた黒地に白の小花柄のブイネックのロング丈ワンピースを着れば大人っぽく見えて、貴利くんの隣を歩いても釣り合う女性になれると思った。ベージュのカーディガンだってそれに合わせて買ったのに。