エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~

『ママがこのままだと千菜は男性と付き合うことにトラウマを抱えてしまうかもしれないって言うんだ。そうなったら一生結婚できないかもしれないとわんわん泣き出すからママが心配で。ここはパパがママのために一肌脱いで、千菜の結婚相手を見つけてあげようと思ってな』

 脱がなくていいからしっかり着ていろ。つか、私じゃなくてママのために私の結婚相手を探したのか。

 子供の頃から薄々気づいてはいたけれど、玉蔵は娘の私よりも妻であるママの方が大好きだ。私の誕生日はよく忘れるくせに、ママの誕生日だけは絶対に忘れず高価な贈り物を毎年のように捧げている。

 まぁ、私も別に玉蔵から好かれたいなんてこれっぽっちも思ったことないから別に気にしていないんだけど。


『それで、私の結婚相手は誰?』


 玉蔵の見つけた相手となんて結婚する気はまったくないものの一応たずねてみる。すると、玉蔵がにんまりと笑ったのですぐに嫌な予感がした。


『よくぞ聞いてくれた千菜。お前の結婚相手はさとるくんなんかよりも遥かに立派な男だ』


 ――誰だよ、さとるって。

 両親揃って私の彼氏……じゃなくて元彼氏の名前を間違えないでほしい。そもそも玉蔵はかけるのことを何も知らないのに勝手に比べないでほしい。

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