別れたはずの御曹司は、ママとベビーを一途に愛して離さない
「渚と仲良くしているようだね」
「……はい」
思わず言葉に詰まり視線を下に落とす。
「君も私が会いに来た理由をなんとなく分かっているようだが。単刀直入に言おう。渚と別れてもらいたい」
そう言われるのだと、なんとなく気づいていた。それでも実際に面と向かってそう言われるとこんなにも心のダメージは深いものなのだと実感する。
「渚は大事な跡取りだ。今は好き勝手やらせているが、将来的には私の後継者として会社を継ぐ使命がある。渚には如月家に相応しい人と一緒になってもらいたいと思っていてね」
「……」
「良い縁談が持ち上がっているというのに、渚は頑なにそれを拒否して君との交際を認めてほしいと直談判する始末だ」
呆れたように渚さんのお父さんが盛大なため息をつく。私の知らないところでそんな風になっているなんてまったく知らなかった。事が事だけに私に話せる内容でなかったのは分かる。
そして渚さんがお父さんに直談判するほどに私との関係を真剣に考えてくれていたことと、その所為で家族間で揉めている事実を知り胸が苦しくなった。
「遊びならば目をつぶるはずだったんだが、こうも君にのめりこんでいる渚を見ると親としては黙ってはいられなくてね。だから君にお願いに来たというわけだ」
「……」
すぐに〝別れます〟と答えなければいけないのだと頭では分かっている。それでも渚さんへの想いがとめどなく溢れてきて、そう答えることができない自分がそこにいる。
「……はい」
思わず言葉に詰まり視線を下に落とす。
「君も私が会いに来た理由をなんとなく分かっているようだが。単刀直入に言おう。渚と別れてもらいたい」
そう言われるのだと、なんとなく気づいていた。それでも実際に面と向かってそう言われるとこんなにも心のダメージは深いものなのだと実感する。
「渚は大事な跡取りだ。今は好き勝手やらせているが、将来的には私の後継者として会社を継ぐ使命がある。渚には如月家に相応しい人と一緒になってもらいたいと思っていてね」
「……」
「良い縁談が持ち上がっているというのに、渚は頑なにそれを拒否して君との交際を認めてほしいと直談判する始末だ」
呆れたように渚さんのお父さんが盛大なため息をつく。私の知らないところでそんな風になっているなんてまったく知らなかった。事が事だけに私に話せる内容でなかったのは分かる。
そして渚さんがお父さんに直談判するほどに私との関係を真剣に考えてくれていたことと、その所為で家族間で揉めている事実を知り胸が苦しくなった。
「遊びならば目をつぶるはずだったんだが、こうも君にのめりこんでいる渚を見ると親としては黙ってはいられなくてね。だから君にお願いに来たというわけだ」
「……」
すぐに〝別れます〟と答えなければいけないのだと頭では分かっている。それでも渚さんへの想いがとめどなく溢れてきて、そう答えることができない自分がそこにいる。