別れたはずの御曹司は、ママとベビーを一途に愛して離さない

「こんな時間にごめんね？」

「いいの、いいの。旦那も夜勤で今日はいないし。そこに座って。紅茶でいい？」
」

「うん。ありがとう」

すっきりと片付けられた白を基調としたナチュラルテイストなリビングには、オシャレな北欧雑貨や美紅が愛してやまない紗良ちゃんの写真が飾られていて、そこには幸せな家族像が垣間見れる。

「それでなにがあったの？」

淹れたての紅茶から立ち上る湯気をぼんやりと見つめていると、美紅が隣の席に腰を下ろして私の顔を覗き込んだ。

「私……渚さんと別れることにしたの」

「え？　なんで？　あんなにうまくいってたのに」

美紅が目を大きく見開く。

「実はね……」

声が震えて言葉に詰まる。いつの間にか視界が滲む。そんな私の異変に気付いた美紅がギュッと私を抱きしめて背中を摩ってくれた。

美紅の優しさに触れ少しずつ落ち着きを取り戻した私は、今日あったすべての話を美紅にした。美紅は私の目を見ながら、時に相槌を打ち最後まで話を聞いてくれた。