別れたはずの御曹司は、ママとベビーを一途に愛して離さない
そんな決意を心に誓い、駆け抜けてきた。湊斗を産んでもうじき三年が経とうしている。直に迫った湊斗の三歳の誕生日。今年は湊斗から新幹線のケーキをリクエストされていて、密かにデザインを考えている。

初めての子育てに戸惑いながらも、両親や周りの人たちに支えてもらいながらなんとかやってきた。

「ママー、おかえりなしゃい」

「ただいま。いい子にしてたかな?」

「うん! ばぁばのおてつだいしたの」

仕事から帰ると息子の湊斗(みなと)が駆け寄ってきて私に抱きついてきた。そして私の手を引いてダイニングの方へと歩き出す。

「ばぁばとクッキーをつくったんだよ」

「みーくんが型抜き頑張ってくれたのよ。ママに食べさせるんだって張り切って作ったのよね」

母が湊斗に向かって優しく微笑む。

「うん! ごはんごちそうさましたら、ママたべてね」

「うん。とっても楽しみ」

湊斗がニコリと微笑む。その顔は渚さんにそっくりだ。渚さんの分身を見ているようにさえ思える。きっと将来、渚さんのようなイケメンになるに違いないと思っている。

「湊斗が作ったクッキーは世界一美味いな」

夕食後、リビングで寛いでいると湊斗がニコニコしながら、ばぁばと作ったクッキーを載せた皿を運んできて、配り出した。
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