別れたはずの御曹司は、ママとベビーを一途に愛して離さない
「凛子ちゃん、おはよう」
「おはようございます」
その日岬オーナーは私が勤めるお店にいた。月に何回はこうやって視察がてらに顔を出すのだ。
「仕事にはだいぶ慣れた?」
「はい。おかげさまで。皆さんとても優しくて楽しく働かせていただいてます」
湊斗を妊娠してもう戻れないと思っていたこの世界。一度離れてみてパティシエールという仕事がどれだけ好きだったか思い知った。そして密かな夢ができた。
いつか自分の店を持ちたい。それを励みに今は目の前のことをこつこつとこなしながら、日々を過ごしていこうと思っている。
徐々に軌道に乗り始めた生活。少しだけ心に余裕ができ始めていた。
時刻は夕方十七時過ぎ。店の外の黒板に明日のおすすめメニューを書き始めそのとき。聞きなれた声が耳に届き自然と視線がそちらへと動く。
「ママ~!」
「湊斗?」
そこには保育園帰りだと思われる湊斗と母がいた。私めがけて湊斗が走ってきて抱きついた。
「ママの所に行くって言ってきかなくて。仕事中にごめんなさいね」
母が申し訳なさそうに謝る。寂しがって離れたがらなくなるのが目に見えるので、仕事場には連れて来ないようにと言ってあったが、よほど湊斗が駄々をこねたのだろうと推測できた。
「おはようございます」
その日岬オーナーは私が勤めるお店にいた。月に何回はこうやって視察がてらに顔を出すのだ。
「仕事にはだいぶ慣れた?」
「はい。おかげさまで。皆さんとても優しくて楽しく働かせていただいてます」
湊斗を妊娠してもう戻れないと思っていたこの世界。一度離れてみてパティシエールという仕事がどれだけ好きだったか思い知った。そして密かな夢ができた。
いつか自分の店を持ちたい。それを励みに今は目の前のことをこつこつとこなしながら、日々を過ごしていこうと思っている。
徐々に軌道に乗り始めた生活。少しだけ心に余裕ができ始めていた。
時刻は夕方十七時過ぎ。店の外の黒板に明日のおすすめメニューを書き始めそのとき。聞きなれた声が耳に届き自然と視線がそちらへと動く。
「ママ~!」
「湊斗?」
そこには保育園帰りだと思われる湊斗と母がいた。私めがけて湊斗が走ってきて抱きついた。
「ママの所に行くって言ってきかなくて。仕事中にごめんなさいね」
母が申し訳なさそうに謝る。寂しがって離れたがらなくなるのが目に見えるので、仕事場には連れて来ないようにと言ってあったが、よほど湊斗が駄々をこねたのだろうと推測できた。