別れたはずの御曹司は、ママとベビーを一途に愛して離さない
未来へ繋がる、スイートピー
そんな出来事から一か月が過ぎた。湊斗はあれから取り乱すことはないが、甘えてくることが多くなった気がする。

岬オーナーはたまにお店に来るが、普通に接してくれていて私も仕事は仕事と割り切って彼に接している。

保育園での一件を聞いてから、前にも増して湊斗と過ごす時間を大切にするようになった。

たくさん会話をしてスキンシップをして、一緒にいろんなところに遊びに行って様々な体験をさせようと思っている。父親がいない寂しさやハンデを感じさせたくない。

自分にできることをしてちゃんと湊斗と向き合うと心に決めた。

「ママー、ペンギンさん泳ぐのじょうずね~」

「そうだね。すいすい泳いでてすごいね」

「ぼくもプールでじょうずに泳げるようにがんばる」

「うん。楽しみにしてるね」

その日は母とともに湊斗を連れて水族館を訪れていた。最近、海の生物に興味がある湊斗は、寝る前に魚の図鑑を見て過ごすのが日課になっている。水族館を訪れたのも湊斗が行きたいと言ったからだ。

嬉しそうにはしゃぎながら水槽を覗く湊斗を見ていると、こちらまで自然と頬が緩む。

最近はいろいろ悩むことが多かったが、こうやって我が子の笑顔を見ていると明日からも頑張ろうと思える。

今日は水族館をひと通り周ったら隣接する遊園地に行き、そのあとは湊斗の大好物であるハンバーグを食べに行く予定だ。

明らかにテンションが高い湊斗は私と母の手を取って、間でブランブランと足を浮かせてブランコするのが面白いらしい。

キャキャッとはしゃぎながら何回もやるから、私も母も腕がパンパンだ。
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