別れたはずの御曹司は、ママとベビーを一途に愛して離さない
それを機に渚さんと連絡を取るようになり、彼は毎日のように電話をくれる。

渚さん自身、お父さんと久しぶりに会い私とのことを伝えたそうだ。

もちろんいい答えはもらえなかったらしい。だが渚さんの覚悟は固く、認めてくれないのならば会社を継ぐ気はないと宣言したらしい。

本気で湊斗と私と歩む人生を考えてくれているのだ。それでも覚悟を決め切れていない私の中では、急速に変化していく環境に戸惑いがあったりする。

湊斗のこと。岬オーナーのこと。そして渚さんのこと。最近は悩みが尽きない。

思わずため息を漏れる。

「なんか悩み事？」

「え？」

仕事場で帰り支度をしていたら、岬オーナーが声を掛けてきた。

「俺でよかったら話を聞くよ。このあと一緒にご飯でもどう？」

「えっと、今日は湊斗と約束があって」

そんなのはとっさに出た嘘だ。岬オーナーの気持ちを知ってからどう接していいか分からなくて、距離を置こうとしている自分がいる。
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